映画「のさりの島」を観たので絶対にネタバレせずに全力で紹介

映画「のさりの島」を観たので絶対にネタバレせずに全力で紹介

映画「のさりの島」
数年以上ぶりに1人映画で観た映画。

私の邦画に対する想いを少し変えてくれた作品

前回の記事でTwitterでいいねを押してくださった方が意外にも多くいらっしゃったので、
絶対にネタバレせずに、ちゃんと映画「のさりの島」の紹介をしておきたいと思います。

「のさりの島」をネタバレせずに紹介する

「ネタバレしない!」・・という固い決意のもとに書くので、
ちょっと説明文的なものになってしまうと思います。

「もしもし、ばあちゃん、俺だけど・・」
明らかに不穏な空気を感じさせる言葉。
これがこの映画のキャッチコピー。

今の時代ではもはや当たり前のように「怪しさ」を感じ取れる言葉だ。
さて、この言葉を見てどんなストーリーを想像する?

色々あると思う。
「オレオレ詐欺の話か」と思いありふれたストーリーを想像する人もいるかも知れない。
もしかしたら詐欺からの強盗からのバイオレンスな展開までもを想像する人もいるかも知れない。

安心してください。
そういった不穏でネガティブな要素はほとんど無いです。

私が思うに、この「のさりの島」という映画の本筋は、
そこに登場する人物たちの「人生の再生」じゃないかと思う。

ここで言う「再生」という言葉には3つの意味を想いたい。

まず1つは「やり直す」という意味での「再生」

次に「スタートする」という意味での「再生」
映像機器にある再生ボタンのようなイメージ。

最後の1つは、リピートという意味での「再生」
誰もが一度は思い返す「あの日、あの時、あの場所で」。
人生におけるリピート、つまり追体験に願うこと、そこにあるのはおそらく「再会」。

劇中に「天草のかかし」が登場する。
1人ひとり(一体一体??)表情が違い、思いが込められているということだった。

それも私が思う「再会」に重要な意味を持っていると思う。

活気が失われたシャッター街

舞台は長崎県天草のとある商店街。
時代の流れと共に活気が失われ、今は開いている店もまばら。
かつての賑わいを証明するモノはそこに暮らす人たちと、アーケードがあって映画館がある!ってことだけ。

そんな銀天街を中心に物語は進んでいきます。
ところで「銀天街」って素敵な名前だよね。

若い男は銀天街の入り口に辿り着き、適当に電話をかける。

そして一件の店の店主と電話が繋がった。
将太を迎え入れる店主。

私が思う「のさりの島」の見どころ

ばあちゃん(役:原千佐子さん)が色々と「しまい」ます。
それは将太の持ち物であったり仏壇のものだったり、訪ねてきた人との会話の内容であったり。

ばあちゃんがいつも座っている椅子は座面を上げると中にものを入れていけるタイプ。
そこに「しまうもの」と、その理由。

ここは是非ともじっくり考えてほしい。

そして若い男/将太(役:藤原季節さん)の「顔」の変化にも注目です。
銀天街の入り口で電話をかけている時の「顔」
銀天街の日常に溶け込み始めた頃の「顔」
「清ら」とテトラポットで話している時の「顔」
そしてばあちゃんから最後に言葉をかけられる時の「顔」

顔が語ってます。

堀川清ら(役:杉原亜美さん)のイントネーション。
役柄、ラジオのパーソナリティなので意図したかしてないかわからないが、
「地元の方便を出さずに標準語で話している感じ」がすごい自然。

私も生まれは都会ではなかったので田舎が嫌いで都会にあこがれる部分もあり
方便混じりで話すことが好きじゃなかった。
だからなんかわかる感があった。

過去の映像を集めて上映会をしようと奔走している若者グループの面々も良かった。
これ、演じていた学生にとっても思い入れのある作品になったんじゃないかな。
若者グループは清らを含め4人。

・・なんだけど、ここに将太と大野久美子が関わっていく。

パンフレットの一部その2
公式パンフレットにある山西楽器店の光景。ちなみにばあちゃんから一番近い位置に飾ってあるギター、買いたいわ~。

映画終盤の清らと銀天街の一瞬、ここも必見。
清らが追い求めていた「再会」が表現されている。

時系列や銀天街の歴史を考えると清らにとっては初対面だと思われそうだけど
これ、「再会」なんです。

そして最後に絶対にはずせないみどころを書きたい。
それは「ばあちゃん」が「若い男」に語りかける最後の言葉
その時の表情、空気感。もちろん「俺」の雰囲気も含めて。
かなり効く。

映画を観た時に「このセリフかーーーっ!!」って思ってほしい。

この言葉のために、この映画がつくられたのではないかと思えるほどの鮮烈な印象を残す一言。
原さんの遺作であることも考えてしまうと、感慨深さが脳裏を走り抜けます。

原さんにお孫さんがいるかどうかはわかりませんが、収録の期間中は楽しく過ごされたのかなぁ。

この映画は田舎(良い意味で)や南国特有の「ゆったりと流れる時間」を感じられる映画なので、
劇中に登場する小物や写真など、ちゃんと覚えていられる。

「のさりの島」は最近の映像作品にありがちな、一本の線で繋がったようなストーリーというか、
敷かれたレールの上を目的地までただ進むような、説明じみたわかりやすい映画ではなく、
映像に散りばめられた無数の点が実は全て関係していて、それが徐々に繋がっていく。
・・そういう空気感を感じる映画。

それ故に何回も見ても良いし、その度に少しずつわかってくる部分がある。

ばあちゃんが家族と電話するシーンなんかは、
「やっぱりそうだよね」って思える。

自主制作映画感を漂わせたプロフェッショナルチーム

最近ではCGでの演出なんかが超絶進化を遂げて、あまり機材にお金をかけずに
iPhoneで撮りました~とかグリーンバックを活用しまくっています!
・・みたいな映画は多いよね。

それには良いところもあれば良くないところもあると思う。
アヴェンジャーズなんかも好きだけど。

静止画としての写真や映像もプロ機材でなければ撮れないものもあるけど、
スマホのカメラで撮ったものでも、良いものは良い。

何が言いたいかというと、適材適所ってこと。

「のさりの島」では多分ですが、ちゃんと映画の機材を使って映画をちゃんと撮っている
いぶし銀の職人が集まってる、そんな感じの映像。

合成ではなく、そのシーンのその場所に必要なものをセットする
カメラや音声など職人の経験則が活かされているような、そういう撮り方をしている映画だと思う。

クラウドファンディングで支援を募っていたという経緯からも、
制作陣が「撮りたいものを撮る」ということができた作品なのかも知れない。

ポスターとパンフレット

のさりの島パンフレット
1人映画ではパンフレット買うのがおすすめ。旅先でお土産を買うようなイメージ。

後で気付きましたが、ポスターやパンフレットのデザインも素晴らしい。

映画の内容をじっくりと観ていると、「のさりの島」のポスターが
なぜこのようなデザインになったのかということも次第にわかると思います。

ここではあえて載せないが・・
公式パンフレットの裏表紙が激ヤバです。

映画「のさりの島」を観終わった後、
何気なくパンフレットを買いぱらぱらと適当にページをめくるでしょう。
そして閉じたとき、裏表紙を見る。
そこで最後のメッセージが届きます。

おばあちゃんっこだった人や、涙腺がゆるい世代の方は閲覧注意です。

パンフレットには世界観に浸れる写真も載っているのでオススメです。

もしも「のさりの島」を観に行くなら

ぜひ前売り券を購入してほしい。
天草の活版印刷が活用されています。

「のさりの島」前売り券の特典
懐かしい紙封筒に特性スタンプ。

前売り券はオンラインでも購入できるし、劇場の窓口でも購入できる。
私は名古屋市に住んでいるので名演小劇場で観ましたが前売り券も同じく劇場で購入しました。

前売り券
封筒の中にはポストカードが。これ2種類あることを後で知った。もう一回観に行きたいぜ!

・映画『のさりの島』公式サイト
https://www.nosarinoshima.com/

・映画『のさりの島』公式Base ECサイト
https://nosari.official.ec/

どこの劇場で公開されるかは公式サイトや公式Twitterで確認ができるけど、
近くにミニシアターがあるなら、そこの上映情報を見ても良いと思います。

「のさりの島」を観た後に、もっと楽しむスパイス

「のさりの島」をもう観たという人に映画をもう少し楽しめるものを紹介したい!

・「オンライン天草料理教室」 〜天草のおばちゃん達とつくる、映画にも出るあの一品〜

ばあちゃんが将太に振る舞うあの料理です。

・熊本県天草観光ガイド「道の駅 宮地岳 かかしの里」
https://www.t-island.jp/spot/2910
映画に出てくる「かかし」のことが少しわかります。

いわゆるロケ地巡りをしたくなります。
コロナが終息したら行きたいね。
あのバスに乗ってさ。

最後に「のさり」とは何なのか?

のさり」という言葉は熊本弁。
その意味は「天からの授かりもの」ということ。

一見するとポジティブな言葉のようにも思える。

しかし、「天からの授かりもの」、「天から与えられるもの」というものには
当然ながら良いこともあれば悪いこともあり得る。

すぐに乗り越えられるイージーなものかも知れないし
絶望を伴うような逃れらない不可抗力である可能性もある。

地元の方は「これは私の『のさり』だ」というような使い方をされるそうだ。

現実世界の日常は、受け入れなければならないことが多い。
良いことも悪いことも。

ばあちゃんは電話を受けた時に仏壇で拝み、そっとあるものを奥へ「しまう」。
それはたぶん、ばあちゃんにとっての「のさり」の始まりだったんだよね。
若い男にとっても。

パンフレットの一部その1
2人に訪れた「のさり」はきっと善い未来に繋がっている